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被覆栽培(被せ)とは?玉露・かぶせ茶・抹茶の旨味を生む栽培方法を解説

被覆栽培(被せ)とは?玉露・かぶせ茶・抹茶の旨味を生む栽培方法を解説

被覆栽培(被せ)とは、摘む前の一定期間、茶樹をネット等で覆って日光を遮る栽培方法のことです。日光を遮ることで茶葉は独特な香りを放ち、旨味のもとになるテアニンが渋味のもとになるカテキンへ変化するのを抑えるため、旨味が豊かで渋味の穏やかなお茶になります。

反対に、覆わずに日光をたっぷり浴びせて育てるのが「露地栽培」です。どちらが優れているということではなく、それぞれに違う魅力があります。

目次
  1. 被覆栽培(被せ)とは
  2. 覆うと、お茶の何が変わるのか
  3. 被覆栽培(被せ)で作られるお茶の種類と違い
  4. 覆い方の種類と、産地で見た被覆栽培
  5. 被覆栽培のお茶の淹れ方
  6. よくある質問

被覆栽培(被せ)とは

「被覆(ひふく)」とは、文字通り覆いかぶせること。お茶の世界では、摘み取りの前に茶園をネット等で覆い、新芽に当たる日光を遮る栽培方法を被覆栽培と呼びます。「被せ(かぶせ)」や「覆い(おおい)」とも呼ぶこともあり、転じて被覆栽培で作られたお茶を「被せのお茶」のように呼ぶこともあります。

覆うのは、新芽が伸びてから摘み取るまでの数日〜20日間ほど。覆う資材には、よしずや藁、黒い寒冷紗(かんれいしゃ)などが使われます。

反対の栽培方法「露地栽培」

被覆栽培の反対が、露地栽培(ろじさいばい)です。露地栽培では、茶園を覆わず、新芽に日光をたっぷりと浴びせて育てます。

そのため露地栽培のお茶は、ほどよい渋味と、お茶本来の香りを楽しむことができます。

覆うと、お茶の何が変わるのか

露地栽培と被覆栽培の違いを示した図。露地栽培では日光でテアニンがカテキンへ変化し、ほどよい渋味と明るい黄緑色、爽やかな香りになる。被覆栽培では日光を遮ることで変化が抑えられ、旨味が豊かで緑が深く、覆い香が生まれる

被せを行うと、お茶の旨味・色・香りが変わります。

味わい:旨味が増し、渋味が穏やかになる

旨味のもとになるテアニンは、根で作られて新芽へと運ばれます。新芽が日光を浴びると、そのテアニンが、渋味のもとになるカテキンへと変化していきます。覆って日光を遮ると、この変化が抑えられ、テアニンが新芽に多く残ります。これが、被覆栽培のお茶の豊かな旨味の理由です。

香り:「覆い香(おおいか)」が生まれる

被せを行うことで、茶葉にはジメチルスルフィドという海苔や青のりを思わせる独特の香気成分が生まれます。これを「覆い香(おおいか)」と呼び、パッケージを開けた瞬間に感じる海苔のような香りは高級茶の証であるとも言われています。

色:緑が深く、鮮やかになる

弱い光の中で育つ新芽は、少ない光を受け止めようと、葉緑素を多く作ります。そのため被覆栽培の茶葉は、緑が深く、鮮やかな色になります。

被覆栽培 VS 露地栽培

項目 露地栽培の煎茶 被覆栽培のお茶
多い成分 カテキン(渋味) テアニン(旨味・甘味)
味わい 渋味を感じる味わい 旨味豊かな味わい
香り 青々とした、茶葉本来の香り 覆い香(海苔や青のりのような香り)
水色 淡く明るい黄緑色 鮮やか濃緑色

茶価(値段)はどう変わるのか

2024年産の茶種別の荒茶価格(1kgあたり)。煎茶1,197円、かぶせ茶1,659円、玉露2,637円、碾茶3,278円

この図は、2024年の「荒茶(あらちゃ)」の取引価格です。

見ていただくとわかる通り、露地栽培が中心の煎茶(1kgあたり1,197円)にくらべて、かぶせ茶は1,659円、玉露は2,637円、碾茶は3,278円と、覆う期間が長いお茶ほど、茶価が高くなっています。覆う資材や棚を用意し、覆いをかけ外しする手間が、そのまま茶価に表れていると言えます。

出典: 農林水産省「茶をめぐる情勢」(令和7年10月)「(参考)お茶の種類」「茶期毎の価格の推移(令和6年産の荒茶)」(資料: 全国茶生産団体連合会調べ)より作成 ※2025年以降は茶の市況が大きく動いているため、2024年産のデータで示しています。

被覆栽培(被せ)で作られるお茶の種類と違い

被覆栽培のお茶は、覆う期間と覆い方によって、大きく3つに分けられます。

  • かぶせ茶: 摘む前の約1週間、茶樹に直接資材をかけて覆うお茶で、煎茶の爽やかさと、玉露のような旨味をあわせ持ちます。
  • 玉露(ぎょくろ): 摘む前の約20日間、茶園の上に棚を組んで覆うお茶で、とろりとした濃厚な旨味と、はっきりとした覆い香を持ちます。
  • 碾茶(てんちゃ)・抹茶:「碾茶」とは 玉露と同じように棚を組んで2〜3週間ほど覆い、揉まずに乾かしたお茶で、これを石臼などで細かく挽いたものが抹茶です。

日本で作られるお茶(荒茶)のうち、玉露は1.0%、かぶせ茶は2.6%、碾茶は7.3%です(2024年産。出典は上の図と同じ)。煎茶(49.7%)にくらべると、被覆栽培のお茶は貴重といえます。

覆い方の種類と、産地で見た被覆栽培

棚がけと直がけ

  • 棚がけ: 茶園の上に棚を組み、その上をよしずや藁、寒冷紗で覆う方法です。茶樹と覆いの間に空間ができるため、新芽が蒸れにくく、長い期間覆うことができます。玉露や碾茶で使われる、伝統的な方法です。
  • 直がけ: 茶樹の上に、寒冷紗などを直接かける方法です。棚を組まずに済むため、短い期間覆うかぶせ茶で多く使われます。直がけの場合は寒冷紗と茶葉が直接触れるため、茶葉が傷ついたり、香りが損なわれるという生産者の方もいらっしゃいます。

産地で見た、被せの茶葉の色

私が実際に産地を訪ねる中で、被せの違いを最もはっきりと感じたのは、茶葉の色でした。

露地栽培の茶葉は、黄緑色の、パッと弾けるような明るい発色をしています。

一方、被せをした茶葉は、緑が深く、鮮やかな色合いをしています。見るからに緑が濃く、これが被せの茶葉だと、ひと目で分かるほどです。

被覆栽培のお茶の淹れ方

被覆栽培のお茶の旨味を引き出すには、煎茶より少し低めの湯温で、ゆっくりと淹れるのがおすすめです。湯温が低いと、渋味のもとになるカテキンが溶け出しにくく、旨味のもとになるテアニンが引き立ちます。

項目 かぶせ茶 玉露
茶葉の量 4〜5g
お湯の量 150ml(一杯分)
湯温 60〜70℃ 50〜60℃
浸出時間 2分

※ 茶葉の個性によって適した淹れ方は変わります。たゆまの茶荘の茶葉は、商品ページに記載した淹れ方を目安にしてください。

よくある質問

Q. かぶせ茶と玉露の違いは何ですか?

主な違いは、覆う期間と覆い方です。かぶせ茶は摘む前の約1週間、茶樹に直接資材をかけて覆い、玉露は約20日間、棚を組んで覆います。覆う期間が長い玉露の方が、旨味と覆い香がより強くなります。

Q. 抹茶も被覆栽培のお茶ですか?

はい。抹茶の原料になる碾茶は、摘む前の2〜3週間ほど、棚を組んで覆って育てます。抹茶の鮮やかな緑色と旨味は、被覆栽培から生まれています。

Q. 「覆い香」とはどんな香りですか?

被覆栽培のお茶に生まれる、海苔や青のりを思わせる香りです。玉露や抹茶で特にはっきりと感じられます。

Q. 被覆栽培のお茶と露地栽培のお茶、どちらが良いお茶ですか?

どちらが優れているということはありません。旨味をじっくり味わいたいときは被覆栽培のお茶、すっきりとしたキレと爽やかな香りを楽しみたいときは露地栽培のお茶と、その日の気分や好みで選んでみてください。

Q. 被覆栽培のお茶は、普通の煎茶と淹れ方が違いますか?

旨味を引き出すため、煎茶より少し低めの湯温で淹れるのがおすすめです。詳しくは、この記事の「被覆栽培のお茶の淹れ方」をご覧ください。

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