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抹茶とは|碾茶からつくる抹茶の特徴と、粉末緑茶との違い、おいしい点て方

抹茶とは|碾茶からつくる抹茶の特徴と、粉末緑茶との違い、おいしい点て方

2025年、世界で抹茶の人気が一気に高まり、日本中の抹茶が海外へと運ばれて、国内でも品薄になるほどのブームが起こりました。産地を巡っていても、抹茶をめぐる熱気をこれほど感じた年はありません。

抹茶とは、原料である「碾茶(てんちゃ)」を、石臼などで細かく挽いたお茶です。碾茶は摘む前に2〜3週間ほど茶園を覆って育てた茶葉を、蒸して揉まずに乾かして作られます。

茶葉そのものを湯に溶かして飲む、日本茶の中でも特別なお茶です。この記事では、抹茶の育て方とつくり方、煎茶や粉末緑茶との違い、産地と世界的なブームのいま、家での点て方までを解説します。

目次
  1. 抹茶(碾茶)とは
  2. 抹茶ができるまで
  3. 抹茶と、煎茶・玉露・粉末緑茶の違い
  4. 抹茶の産地と味わい
  5. 抹茶の成分と、研究で報告されている働き
  6. 世界的な抹茶ブームと、これからの日本の抹茶
  7. 抹茶の点て方(薄茶)
  8. よくある質問
  9. 同じ茶樹から生まれる、特別な一杯

抹茶(碾茶)とは

抹茶の原料は、「碾茶(てんちゃ)」と呼ばれるお茶です。摘む前に2〜3週間ほど茶園を覆って育てた茶葉を、蒸して酵素の働きを止め、揉まずに乾かしてつくります。この碾茶を石臼などで細かく挽いて粉にしたものが、抹茶です。

煎茶や玉露は、茶葉にお湯を注いで、溶け出した成分を飲むお茶です。それに対して抹茶は、粉にした茶葉をお湯に溶かして、茶葉そのものを飲むお茶です。同じ茶樹の葉からつくられる緑茶の仲間ですが、育て方も、つくり方も、飲み方も、ほかのお茶とは大きく違います。日本茶全体の中での位置づけは「お茶の種類一覧」で紹介しています。

日本でつくられる荒茶のうち、抹茶の原料になるてん茶は8.6%(2025年産)で、煎茶に次いで2番目に多いお茶です。

抹茶ができるまで

抹茶は、茶園での育て方から、工場でのつくり方まで、煎茶とは大きく違う道のりをたどります。

抹茶ができるまでの図。茶園を覆う(摘む前の2〜3週間、日光を遮る)、摘む、蒸す、揉まずに乾かす、茎や葉脈を取り除いた碾茶、石臼などで挽いて抹茶に

日光を遮って育てる

抹茶の原料になる茶葉は、摘む前の2〜3週間ほど、棚を組んでよしずや寒冷紗などで茶園を覆い、日光を遮って育てます。日光を遮ると、旨味のもとになるテアニンが渋味のもとになるカテキンに変わるのが抑えられ、旨味が豊かで、深く鮮やかな緑の茶葉になります。覆いをかけて育てる方法については「被覆栽培(被せ)とは?」で詳しく解説しています。

蒸して、揉まずに乾かす

摘んだ茶葉は、煎茶と同じように蒸して酵素の働きを止めますが、そのあと揉まずに乾かすのが、煎茶との最大の違いです。揉まないので葉は平たいまま乾き、乾かしたあとに茎や葉脈を取り除いたものが碾茶になります。

碾茶の工場は、煎茶の工場とはまるで違います。揉む工程がほとんどなく、大きな乾燥炉で葉を乾かすことが中心の、めずらしいつくりの工場です。設備も栽培の方法も違うため、煎茶をつくってきた農家が抹茶づくりに乗り出すのは、たやすいことではありません。

石臼で挽く

碾茶を石臼などで細かく挽いて、粉にしたものが抹茶です。茶葉をそのまま粉にするため、きめ細かさや挽き方によっても、口当たりや香りが変わります。

抹茶と、煎茶・玉露・粉末緑茶の違い

抹茶とよく比べられるお茶を、育て方とつくり方、飲み方で並べると次のようになります。

お茶 育て方 つくり方 飲み方 味わい
抹茶 摘む前の2〜3週間ほど覆う 蒸して、揉まずに乾かした碾茶を挽く 粉をお湯に溶かし、茶葉ごと飲む 旨味と甘味、海苔を思わせる香り
玉露 摘む前の20日ほど覆う 蒸して、揉みながら乾かす お湯に溶け出した成分を飲む 出汁のような濃い旨味
煎茶 日光を浴びて育てる 蒸して、揉みながら乾かす お湯に溶け出した成分を飲む 旨味と渋味の釣り合い、青々しい香り
粉末緑茶 主に日光を浴びて育てる 煎茶などを細かく砕く 粉をお湯や水に溶かす 煎茶に近い、すっきりとした味わい

抹茶と粉末緑茶は、どちらも粉のお茶ですが、原料もつくり方も別のものです。粉末緑茶は、揉んで仕上げた煎茶などを細かく砕いたもので、覆いをかけて育て、揉まずに乾かした碾茶を挽く抹茶とは、色も香りも口当たりも違います。煎茶と玉露の違いは「煎茶とは」でも紹介しています。

抹茶の産地と味わい

抹茶といえば京都・宇治を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、今、抹茶の原料になるてん茶をいちばん多くつくっているのは鹿児島県です。2025年度のてん茶の生産は、鹿児島県が全国1位、京都府が2位、静岡県が3位となっています。

古くから抹茶づくりで知られる宇治のある京都府では、碾茶に向く「おくみどり」や「さみどり」などの品種も多く育てられています。産地や品種、覆いのかけ方や挽き方によって、抹茶の色や香り、旨味の濃さは変わります。

抹茶の味わいの特徴は、覆いをかけて育てることで生まれる豊かな旨味と甘味、そして海苔を思わせる「覆い香(おおいか)」と呼ばれる香りです。茶葉ごと味わうので、点てたときのきめ細かな泡と、とろりとした口当たりも楽しめます。

抹茶の成分と、研究で報告されている働き

抹茶が海外でこれほど注目を集めた背景には、健康への関心の高まりがあります。農林水産省も、健康志向や日本食への関心の高まりなどを背景に、抹茶を含む粉末のお茶の需要が広がったとしています。

抹茶のいちばんの特徴は、茶葉そのものを飲むことです。煎茶や玉露では急須の中の茶葉に残ってしまう成分も、抹茶なら一緒に口にすることになります。

  • テアニン: 覆いをかけて育てるため、旨味のもとになるアミノ酸のテアニンを多く含みます。テアニンについては、摂取したあとに、落ち着いているときに多く見られる脳波(α波)が増えたという報告があります
  • カテキンとカフェイン: 茶葉ごと飲むため、一杯でとるカテキンやカフェインの量は、急須で淹れたお茶より多くなりやすいお茶です。カフェインとテアニンを一緒にとることで、カフェインだけのときよりも穏やかに集中できる可能性を示した研究もあります
  • お湯に溶けにくい成分: β-カロテンやビタミンE、食物繊維、葉緑素(クロロフィル)など、急須で淹れたお茶ではほとんど飲むことのない成分も、茶葉ごと口にすることになります

それぞれの成分については、「テアニンとは」「カテキンとは」「お茶のカフェイン」で詳しく紹介しています。

※研究で報告されている内容の紹介であり、特定の疾患の予防や治療を目的とするものではありません。

世界的な抹茶ブームと、これからの日本の抹茶

2025年、海外での健康志向や日本食への関心の高まりを背景に、世界的な抹茶ブームが起こりました。日本の緑茶の輸出額は721億円と、前年の約2倍に増えて過去最高を記録しています。その伸びを支えたのが、抹茶を含む粉末のお茶です。

日本の緑茶(抹茶を含む)の輸出額の棒グラフ(2016〜2025年)。2016年116億円から伸び、2024年364億円、2025年721億円で過去最高

日本中の抹茶が海外へと運ばれ、国内でも品薄になるほどでした。抹茶の原料になるてん茶の価格は、煎茶の約4.9倍にもなっています。本来は早い時期に摘むお茶ほど高く取引されるものですが、時間がたつほどにお茶の需要が高まり、遅い時期に摘んだお茶の価格が、先に摘んだお茶を上回るという、これまでにない動きも起こりました。静岡茶市場では、2025年度にいちばん遅い時期に摘む秋冬番茶の取引価格が1kgあたり2,097円となり、一番茶の価格を上回っています。

大型の碾茶工場は、稼働を増やすために各地から茶葉を買い集め、知り合いの農家にも、何億円もかけて抹茶の工場を建てた方がいます。抹茶にどれほど引き合いがあったかを、産地で肌で感じた一年でした。

一方で、抹茶が足りなくなった結果、ふつうの煎茶を粉にして抹茶として輸出する例も現れ、日本の抹茶の品質やブランドの価値を損なうことにもつながりました。2026年4月には、抹茶の定義や基準づくり、偽装や誤った表示の問題に取り組む国際団体「International Matcha Association」が設立されています。

もともと抹茶は日本がいちばんつくってきたお茶ですが、今では中国や韓国でもつくられるようになりました。これからの日本の抹茶には、品質がより強く求められるはずです。覆いをかけて育て、揉まずに乾かし、挽くという製法と、それを支える工場を守りながらつくり続けることが、何より大切だと私は考えています。

また、煎茶から碾茶へと切り替える産地が増えたことで、煎茶の生産が減り、煎茶の価格も上がっています。2026年産の一番茶は、前年と比べて鹿児島県で約2倍、静岡県で約7割高い価格で取引されました。国内で足りなくなったペットボトル茶などの原料を補うように、中国などからの緑茶の輸入も急に増えています。抹茶のブームは、日本茶全体の流れも大きく変えつつあります。

抹茶の点て方(薄茶)

ふだん家で楽しむ抹茶は、「薄茶(うすちゃ)」と呼ばれる点て方が基本です。一杯分の目安は次のとおりです。

抹茶 お湯の量 お湯の温度
2g(茶杓に山盛り1杯ほど) 70ml前後 80℃
  1. 茶碗にお湯を注いで温め、お湯を捨てて水気を拭く
  2. 抹茶を茶こしでふるいながら茶碗に入れる(ダマになりにくくなります)
  3. 80℃ほどに冷ましたお湯を注ぐ
  4. 茶筅を茶碗の底から少し浮かせ、手首を使って前後に素早く振り、きめ細かな泡を立てる
  5. 最後に泡の表面を整えるように、茶筅をゆっくり「の」の字に回して引き上げる

お湯を少なめにして、練るように点てる「濃茶(こいちゃ)」という飲み方もあります。

よくある質問

Q. 抹茶と粉末緑茶の違いは何ですか?

どちらも粉のお茶ですが、原料とつくり方が違います。抹茶は、摘む前に覆いをかけて育て、揉まずに乾かした碾茶を挽いたものです。粉末緑茶は、揉んで仕上げた煎茶などを細かく砕いたもので、抹茶とは色も香りも口当たりも異なります。

Q. 抹茶と碾茶の違いは何ですか?

碾茶は、抹茶の原料になる葉のお茶です。覆いをかけて育てた茶葉を、蒸して揉まずに乾かし、茎や葉脈を取り除いたものが碾茶で、この碾茶を石臼などで挽いて粉にしたものが抹茶です。

Q. 抹茶にカフェインは含まれますか?

含まれます。抹茶は茶葉そのものを飲むため、ほかのお茶とは量の比べ方が異なります。詳しくは「お茶のカフェイン」で解説しています。

Q. 茶筅がなくても抹茶は点てられますか?

茶筅がなくても、小さな泡立て器や、ふたの閉まる容器に抹茶とお湯を入れて振る方法で楽しめます。ただ、きめ細かな泡となめらかな口当たりは、やはり茶筅で点てたときがいちばんです。

Q. 抹茶はどう保存すればよいですか?

抹茶は粉なので、葉のお茶よりも光や湿気、においの影響を受けやすいお茶です。開封したら密閉して涼しい場所で保存し、なるべく早めに飲みきりましょう。

同じ茶樹から生まれる、特別な一杯

抹茶は日本茶の中でも特別なお茶ですが、ふだん飲んでいる煎茶や玉露と同じ茶樹の葉から、育て方とつくり方の違いによって生まれるお茶です。覆いをかけて旨味を育て、揉まずに乾かし、挽く。そのひとつひとつの工程を知ると、一杯の抹茶の味わいがより深く感じられるはずです。

たゆまの茶荘では抹茶は扱っていませんが、同じように摘む前に覆いをかけて旨味を育てたかぶせ茶のあまもあがあります。覆いが生む旨味を、葉のお茶でも味わってみてください。ほかのお茶は茶葉の一覧からご覧いただけます。

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