お茶にカフェインは含まれる?茶種ごとの量と、淹れ方で変わる出方を解説
短時間にお茶を飲み過ぎると、お酒を飲んだ時のようにふわふわとした心地になることがあります。これは「茶酔」と呼ばれ、お茶のカフェインやミネラルの効果で覚醒した状態なのだとか。
お茶のカフェインは、お茶の苦味を司る成分で、その量は茶種と淹れ方によって大きく変わります。淹れたお茶100mlあたりでくらべると、玉露は160mgとコーヒー(60mg)より多い一方で、煎茶やほうじ茶は20mgと、コーヒーの3分の1ほどです。水出しにしたり、番茶やほうじ茶を選んだりすることで、カフェインを抑えて楽しむこともできます。
目次
カフェインは、お茶の味わいにどう影響する?
この図は、お茶の味をつくる3つの成分と、それぞれが司る味を示したものです。カフェインは苦味を司り、お茶の味わいに輪郭と奥行きを与えます。
カフェインといえば、多くの人がまず思い浮かべるのはコーヒーだと思いますが、実はお茶にも含まれていて、お茶の味わいにとっても欠かせない成分のひとつです。
カフェインが多いお茶は、飲み込んだあと、舌の奥にジュワッと広がる苦さが残ります。玉露は旨味が濃い一方でカフェインも多く、とろりとした濃厚な旨味の奥に、ほのかな苦味が重なります。反対にカフェインが少ない番茶やほうじ茶、水出しのお茶は、苦味が穏やかで、軽やかな飲み口になります。
旨味・渋味とのバランス
お茶の味は、旨味のテアニン、渋味のカテキン、苦味のカフェインという3つの成分の釣り合いで決まります。旨味は、舌に乗ったときの味わいの広がりと、余韻の長さを生みます。渋味はお茶の味わいにキレを生み、苦味は味わいにボディ感をつくり出します。そのため、渋味のないお茶は余韻が長い代わりに味わいに緩急がなく、苦味のないお茶は味のボリュームが小さく感じられます。反対に旨味がないと、苦渋味を強く感じてしまい、渋い・苦いお茶になります。
旨味と渋味については、「テアニンとは」「カテキンとは」の記事でくわしくご紹介しています。
カフェインは、茶葉の中でどう増える・減る?
| 育ち方・葉・製法 | カフェイン | 味わい |
|---|---|---|
| 覆って育てる(玉露・抹茶) | 多い | 濃い旨味の奥に、ほろ苦さ |
| やわらかい新芽を使う(上級の煎茶) | 多め | 旨味と苦味が重なる |
| 遅い時期の大きな葉(番茶) | 少ない | 苦味が穏やかで、軽やか |
| 焙じる(ほうじ茶) | 少し減る | 香ばしく、苦味が穏やか |
覆って育てるお茶や、上級茶に多い
摘む前の茶園を覆って育てる玉露や抹茶は、煎茶にくらべてカフェインを多く含んでいます(覆って育てる方法は「被覆栽培(被せ)とは」でご紹介しています)。また、同じ煎茶でも、やわらかい新芽を使う上級茶ほどカフェインが多くなります。
反対に、遅い時期に摘んだ大きな葉や、茶樹の下の方に残った葉を使う番茶は、カフェインが少なめのお茶です。
焙じても、ゼロにはならない
ほうじ茶は、番茶や煎茶を約200℃で数分間焙じて作るお茶で、焙じる熱でカフェインの一部が抜けていきます。ただし、焙じてもカフェインがゼロになるわけではありません。ほうじ茶のカフェインが少なめなのは、焙じることに加えて、原料に番茶などを使うことが多いためです。
お茶の種類で、カフェインの量はどう違う?
この図は、淹れたお茶100mlあたりのカフェインの量を、日本食品標準成分表の値で示したものです。玉露は160mgと、コーヒー(60mg)の2倍以上で、紅茶は30mg、煎茶・ほうじ茶・ウーロン茶は20mg、番茶と玄米茶は10mgです。
出典: 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(し好飲料類・浸出液の備考欄の値)より作成
玉露にカフェインが多い理由
ただし、この値は茶種ごとに決まった淹れ方で測ったものです。玉露の160mgは、10gの茶葉を60mlの少ないお湯で2分30秒かけて淹れた値です。10gの茶葉を430mlのお湯で1分淹れた煎茶にくらべると、茶葉に対するお湯の量がずっと少なくなっています。
茶葉そのものに含まれるカフェインの割合は、玉露(2.90〜4.04%)と煎茶(2.77〜3.49%)で、それほど大きくは変わりません。玉露の160mgには、少ないお湯で濃く淹れる淹れ方が大きく関わっているのです。
コーヒーとくらべると
煎茶やほうじ茶のカフェインは、100mlあたり20mgと、コーヒーの3分の1ほどです。湯呑に一杯(150ml)の煎茶なら、カフェインは30mgほどになります。
淹れ方で、カフェインの出方は変わる
この図は、水出し(約10℃)で淹れたときに、それぞれの成分がどれだけ溶け出すかを、80℃のお湯で2分淹れたときとくらべたものです。苦味のカフェインは、水出しにするとお湯で淹れたときの約半分にとどまります。
さらに、氷水を使って0℃に近い温度で淹れると、カフェインの溶け出す量を、もっと抑えられることも分かっています。
カフェインを抑えたいときの淹れ方
カフェインを抑えてお茶を楽しみたいときは、次のような選び方・淹れ方がおすすめです。
- 水出しにする: 冷蔵庫で淹れると、カフェインはお湯の約半分になり、旨味のテアニンはお湯と同じくらい溶け出します。水出しの淹れ方は「一番茶と二番茶はなにが違う?」でご紹介しています。
- 番茶やほうじ茶を選ぶ: 茶葉に含まれるカフェインが少なめで、苦味の穏やかな、軽やかな味わいが楽しめます。
- 玉露は少しずつ味わう: 玉露は小さな器で少しずつ味わうお茶なので、一度に飲む量は多くありません。量を気にするときは、一杯の大きさにも目を向けてみてください。
カフェインと体について、分かっていること
カフェインをどれくらいまでとってよいかについて、日本では数値の基準は決められていません。食品安全委員会は、海外の機関が示している目安を紹介していて、欧州食品安全機関(EFSA)の目安は次の通りです。
| 対象 | 1日の目安 | 1回の目安 |
|---|---|---|
| 健康な成人(妊娠中の方を除く) | 400mgまで | 200mgまで |
| 妊娠中の方 | 200mgまで | — |
| 授乳中の方 | 200mgまで | 200mgまで |
| 子ども・青少年 | 体重1kgあたり約3mgまで | 体重1kgあたり約3mgまで |
出典: 食品安全委員会「食品中のカフェイン」ファクトシート(最終更新 平成30年2月23日)で紹介されている、欧州食品安全機関(EFSA、2015年)の科学的意見
煎茶を湯呑に一杯(150ml)飲むと、カフェインは30mgほどです。カフェインへの感じやすさには個人差があるため、夜に飲むお茶は、番茶やほうじ茶、水出しのお茶を選ぶなど、ご自身の体調に合わせて楽しんでください。
たゆまの茶荘は、速さや効率のためではなく、じっくり味わうための一杯として、お茶と付き合っていただきたいと考えています。
※ 本記事は食品の成分についての情報を紹介するもので、特定の疾患の予防や治療を目的とするものではありません。妊娠中・授乳中の方や、体調に不安のある方は、医師にご相談ください。
よくある質問
Q. お茶とコーヒーでは、どちらがカフェインが多いですか?
淹れたお茶100mlあたりでくらべると、煎茶やほうじ茶は20mgで、コーヒー(60mg)の3分の1ほどです。ただし、少ないお湯で濃く淹れる玉露は160mgと、コーヒーより多くなります。
Q. ほうじ茶はカフェインが少ないのですか?
煎茶や玉露にくらべると少なめですが、ゼロではありません。焙じる熱でカフェインの一部が抜けることと、原料に番茶などを使うことが多いため、カフェインが少なめのお茶になっています。
Q. カフェインを抑えてお茶を楽しむには、どうすればいいですか?
水出しにするのがおすすめで、冷蔵庫(約10℃)で淹れると、カフェインはお湯で淹れたときの約半分になり、旨味のもとになるテアニンは、お湯と同じくらい溶け出します。
Q. 妊娠中にお茶を飲んでもいいですか?
海外の機関では、妊娠中のカフェインを1日200mgまでとする目安が示されています。量や体調についてご不安がある場合は、医師にご相談ください。
カフェインと付き合いながら、お茶を選ぶなら
カフェインを控えめにしたいときは、焙じた香ばしさを楽しめるほうじ茶や、番茶を選んでみてください。たゆまの茶荘では、ほうじ茶の「すみか」「こがれ」や、番茶の「ほのくら」をご用意しています。
気になった方は、まずは一杯分から試してみてください。どのお茶が合うか迷ったときは、藤井と話すから気軽にご相談ください。