テアニンとは?緑茶の甘味・旨味のもとになる成分|多いお茶と淹れ方
玉露やかぶせ茶をひと口含むと、舌の上にとろりとした旨味が広がり、ほのかな甘い余韻が静かに残ります。
その旨味の正体は「テアニン」。お茶の旨味を司る、茶葉に多く含まれるアミノ酸です。お茶に固有のアミノ酸であり、お茶に含まれるアミノ酸のうち、4割以上を占める成分です。
根で作られて新芽へ運ばれ、日光を浴びると渋味のもとになるカテキンへ変わるため、覆って育てる玉露やかぶせ茶、春に摘む一番茶に多く含まれます。低い湯温や水出しでもよく溶け出すので、淹れ方次第で濃厚な旨味を味わうことができます。
目次
テアニンとは
テアニンは、お茶の茶葉に含まれているアミノ酸の一種です。茶葉にはいくつものアミノ酸が含まれていますが、その中で最も多いのがテアニンで、昆布だしの旨味のもとになるグルタミン酸とよく似た形をしています。
茶葉に含まれるアミノ酸のうち、テアニンは4割以上を占めており、お茶ならではの旨味はこのテアニンから生まれています。
テアニンは、お茶の味わいにどう影響する?
この図は、お茶の味をつくる3つの成分と、それぞれが司る味を示したものです。テアニンは旨味を司り、お茶の味わいに厚みとまろやかさを与えます。
テアニンが多いお茶は、口に含んだ瞬間から、だしのような旨味が舌の上にとろりと広がり、飲み込んだあとにも、ほのかな甘い余韻が長く残ります。玉露やかぶせ茶、一番茶の新茶が、この味わいの代表です。反対にテアニンが少ない二番茶や番茶、ほうじ茶では、旨味が控えめになるぶん、渋味や苦味、焙じた香ばしさが前に出て、すっきりと軽やかな飲み口になります。
渋味・苦味とのバランス
お茶の味は、旨味のテアニン、渋味のカテキン、苦味のカフェインという3つの成分の釣り合いで決まります。旨味は、舌に乗ったときの味わいの広がりと、余韻の長さを生みます。渋味はお茶の味わいにキレを生み、苦味は味わいにボディ感をつくり出します。
そのため、渋味のないお茶は余韻が長い代わりに味わいに緩急がなく、苦味のないお茶は味のボリュームが小さく感じられます。反対に旨味がないと、苦渋味を強く感じてしまい、渋い・苦いお茶になります。
渋味と苦味については、「カテキンとは」「お茶のカフェイン」の記事でくわしくご紹介しています。
テアニンは、茶葉の中でどう増える・減る?
茶葉に含まれるテアニンの量は、茶園を覆うかどうかといった栽培方法や摘む時期だけでなく、茶樹の品種や、肥料の設計によっても大きく変わります。
根で作られ、新芽へ運ばれる
テアニンは、茶樹の根で作られたあと、新芽へと運ばれて蓄えられます。冬の間にゆっくりと蓄えた養分が春の新芽に集まるため、その年に最初に摘む一番茶は、テアニンが特に多いお茶になります。
日光を浴びると、カテキンに変わる
新芽が日光を浴びると、テアニンは少しずつ、渋味のもとになるカテキンへと変わっていきます。そのため、日差しの強い夏に育つ二番茶はテアニンが少なく、渋味のしっかりとしたお茶になります(くわしくは「一番茶と二番茶はなにが違う?」でご紹介しています)。
反対に、摘む前の茶園を覆って日光を遮ると、この変化が抑えられ、テアニンが新芽に多く残ります。玉露やかぶせ茶の豊かな旨味は、この「被覆栽培」から生まれています。
品種によっても違う
同じように育てても、茶樹の品種によってテアニンの量は変わります。たとえば「さえみどり」や「おくみどり」は、旨味を多く持つ品種として知られています。
肥料の設計によっても変わる
テアニンは、根が土から吸い上げた窒素をもとに作られるアミノ酸です。そのため、どのような肥料を、どの時期にどれだけ与えるかという肥料の設計によっても、茶葉に含まれるテアニンの量は大きく変わります。
お茶の種類で、テアニンの量はどう違う?
この図は、茶葉100gあたりに含まれるテアニンの量を、茶種ごとに示したものです。同じ茶種でも量に幅があるのは、下級茶から上級茶までの違いによるもので、上級茶ほどテアニンを多く含んでいます。
図を見ていただくと分かる通り、どちらも覆って育てた茶葉から作る玉露(1.34〜2.65g)と抹茶(1.17〜2.26g)は、平均的な煎茶よりも多くのテアニンを含んでいます(煎茶は0.61〜1.98g)。一方で、遅い時期の大きな葉を使う番茶や、番茶などを焙じて作るほうじ茶には、テアニンはほとんど含まれていません。
出典: 海野けい子「緑茶のストレス軽減および抗うつ作用」『化学と生物』59巻1号(2021)の表「緑茶中の化学成分含有量(乾物中)」(原典: 村松敬一郎 編『茶の科学』朝倉書店)より作成。番茶・ほうじ茶は中級茶の値です。
淹れ方で、テアニンの出方は変わる
この図は、水出し(約10℃)で淹れたときに、それぞれの成分がどれだけ溶け出すかを、80℃のお湯で2分淹れたときとくらべたものです。旨味のテアニンは水出しでもお湯と同じくらい溶け出す一方で、苦味のカフェインは約半分、渋味のもとになるカテキンは約5分の1にとどまります。
つまり、低い温度で淹れるほど、旨味が引き立ち、渋味と苦味が抑えられます。水出しのお茶が甘くまろやかに感じられるのは、このためです。
旨味を引き出す淹れ方
旨味をじっくり味わいたいときは、少し低めの湯温で、時間をかけて淹れてみてください。玉露は、さらに低い50〜60℃の湯で、2分30秒ほどかけて淹れるのが目安です。
| 項目 | 煎茶(旨味を引き出す) | 玉露 |
|---|---|---|
| 茶葉の量 | 4〜5g | 10g(3人分) |
| お湯の量 | 150ml(一杯分) | 60ml |
| 湯温 | 60〜70℃ | 50〜60℃ |
| 浸出時間 | 2分 | 2分30秒 |
※ 茶葉の個性によって適した淹れ方は変わります。たゆまの茶荘の茶葉は、商品ページに記載した淹れ方を目安にしてください。
水出しにすると、テアニンの旨味と、そこから生まれる甘い余韻が、さらにはっきりと感じられます。水出しの淹れ方は「一番茶と二番茶はなにが違う?」でご紹介しています。
テアニンとその効能について
テアニンについては、体への働きを調べる研究も行われています。たとえば、テアニン(50〜200mg)を飲んだあと40分ほどのうちに、リラックスした状態で現れやすい脳波(α波)が増えたという報告があります(Kobayashi et al., 1998)。
ただし、こうした研究で使われるテアニンの量は、1回あたり200mg前後が中心です。煎茶の茶葉に含まれるテアニンは100gあたり0.61〜1.98gなので、一杯分の茶葉(4〜5g)に含まれる量は25〜100mgほどで、そのすべてがお茶に溶け出すわけでもありません。
お茶は、何かのために飲むものというより、旨味と、そこから生まれる甘い余韻をじっくり味わうための一杯として楽しんでいただければと思います。
※ 本記事は茶の成分についての研究を紹介するもので、特定の疾患の予防や治療を目的とするものではありません。
よくある質問
Q. テアニンが多いお茶はどれですか?
玉露や抹茶、かぶせ茶のように、摘む前に茶園を覆って育てたお茶に多く含まれます。同じ煎茶でも、春に摘む一番茶や、上級の煎茶ほどテアニンが多くなります。
Q. テアニンの旨味を引き出すには、どう淹れればいいですか?
少し低めの湯温か、水出しで淹れるのがおすすめです。テアニンは低い温度でもよく溶け出し、渋味のもとになるカテキンや苦味のもとになるカフェインは溶け出しにくくなるため、旨味が引き立ちます。
Q. 水出しのお茶が甘く感じるのはなぜですか?
水出しでは、旨味のもとになるテアニンがお湯と同じくらい溶け出す一方で、渋味の強いカテキンや苦味のカフェインはあまり溶け出しません。渋味や苦味に邪魔されずに、旨味と香りが引き立つため、甘く感じられるのです。
Q. ほうじ茶にもテアニンは含まれていますか?
一般的なほうじ茶には、テアニンはほとんど含まれていません。遅い時期の大きな葉を使う番茶などを焙じて作ることが多く、原料の段階でテアニンが少ないためです。
旨味を味わうお茶を選ぶなら
テアニンの旨味をじっくり味わうなら、覆って育てた被せのお茶や、春に摘んだ一番茶を選んでみてください。たゆまの茶荘では、三重県産のかぶせ茶「あまもあ」や、被せの煎茶「とこのは」をご用意しています。
気になった方は、まずは一杯分から、少し低めの湯温で試してみてください。どのお茶が合うか迷ったときは、藤井と話すから気軽にご相談ください。