一番茶と二番茶はなにが違う?時期・味・茶価を日本茶の専門店が解説
4月の茶畑に立つと、やわらかい黄緑色の新芽が春の日差しを浴びながら、風に揺れています。この年最初に摘まれる芽が、よく耳にする「一番茶」もしくは「新茶」と呼ばれるお茶になります。
一番茶と二番茶の違いは、その年に何番目に摘んだ芽なのかです。冬の間に蓄えた養分で育つ一番茶は、旨味と甘味が豊かで、茶価も最も高くなります。夏の日差しの中で育つ二番茶は渋味が強く、ペットボトルのお茶やほうじ茶など、加工向けに使われることが多いお茶です。
お茶の味わいを楽しむなら、一番茶がおすすめです。たゆまの茶荘で扱っている煎茶も、ほぼすべてが一番茶です。
なお、この記事でお話しするのは煎茶(緑茶)のことです。紅茶の場合は「春摘み」「夏摘み」といった呼び方をするため、別の記事でご紹介します。
目次
一番茶と二番茶の違い
| 項目 | 一番茶 | 二番茶 |
|---|---|---|
| 摘む時期 | 4月下旬〜5月中旬(早い産地は3月から) | 6月中旬〜7月上旬 |
| 芽の育ち方 | 冬に蓄えた養分で、ゆっくり育つ | 一番茶を摘んだ約45〜50日後に、夏の日差しを浴びて一気に伸びる |
| 茶葉の手触り | やわらかく、しっとりしている | 葉が大きく、少し硬い |
| 味わい | 旨味・甘味が豊か。渋味は穏やか | 渋味がはっきりしている。旨味は控えめ |
| 香り | 若々しく、みずみずしい香り | 青みのある、力強い香り |
| 多い成分 | テアニン(旨味・甘味) | カテキン(渋味) |
| 主な使われ方 | 急須で淹れるリーフ茶 | ペットボトルのお茶、ほうじ茶、ブレンドなど |
|
茶価 |
1,800円 | 657円 |
一番茶は、手触りも味わいも「やわらかい」お茶です。二番茶は、夏の日差しを受けた力強さがあり、その渋味や香りは、加工されたお茶の中で生きています。茶価には約2.7倍の差があり、これは味わいの違いと、使われ方の違いをそのまま映しています。
また、お茶は1年に何度か摘まれ、摘む順に「一番茶」、「二番茶」、「三番茶」と呼ばれます。夏以降に摘む三番茶や、秋に摘む「秋冬番茶」もあります。時期は静岡県などの一般的な目安で、鹿児島県や種子島などの早い産地では、3月から一番茶の摘み取りが始まります。
一番茶とは

冬を越えて、最初に摘む芽
茶樹は、秋から冬にかけて成長をゆるめ、根や幹に養分を蓄えます。春になって気温が上がると、その養分を使って新しい芽を伸ばします。この年最初の芽を摘んだものが一番茶です。
冬の間に蓄えた養分を、ゆっくりと芽に送りながら育つため、一番茶の芽には旨味のもとになる成分がたっぷりと含まれています。
「新茶」は一番茶のこと
店頭で「新茶」と書かれているお茶は、その年の一番茶のことです。一番茶の中でも、摘んでからまだ日が浅い、出回り始めのお茶をそう呼びます。特に早い時期に出回るものは「走り新茶」とも呼ばれます。
立春から数えて88日目の「八十八夜」(5月2日ごろ)は、一番茶の摘み取りが盛んになる時期の目安として知られています。
一番茶の味わい
一番茶のいちばんの魅力は、口に含んだときに広がる、ふくよかな旨味と甘味です。渋味は穏やかで、飲み込んだあとも甘い余韻が静かに続きます。香りは若々しく、みずみずしい。春の茶畑の空気を、そのまま閉じ込めたような味わいです。
二番茶とは

一番茶を摘んだあと、約45〜50日で伸びる芽
一番茶を摘んだあとの茶樹は、すぐに次の芽を伸ばし始めます。約45〜50日後、6月中旬から7月上旬に摘まれるのが二番茶です。
二番茶の味わい
二番茶の芽は、梅雨の合間の強い日差しと高い気温の中で、短い期間に一気に育ちます。そのため、渋味のもとになるカテキンが多くなり、味わいは渋味がはっきりとしたものになります。旨味や甘味は、一番茶にくらべると控えめです。
二番茶の主な使われ方
二番茶は、ペットボトルのお茶の原料や、ほうじ茶、ほかのお茶とのブレンドなど、加工向けに使われることが多いお茶です。渋味や力強い香りは、冷やしても味がぼやけにくく、焙じても香ばしさが立ちます。急須で淹れて、そのまま味わいを楽しむリーフ茶としては、一番茶が選ばれることがほとんどです。
一番茶と二番茶の茶価(値段)について
この図は2024年の「荒茶(あらちゃ)」の取引価格です。荒茶とは、農家が摘んだ茶葉を蒸して揉み、乾かすところまで仕上げた、製品になる前のお茶のこと。ここから茶商やお店が選別や火入れをして、店頭に並ぶお茶になります。そのため、ここでの価格は店頭の小売価格ではなく、茶市場での取引価格です。
見ていただくとわかる通り、2024年産の煎茶では、一番茶が1kgあたり1,800円で、二番茶(657円)の約2.7倍でした。そこから三番茶(483円)、秋冬番茶(455円)と下がっていきます。
この順番は、その年だけのことではありません。2008年から2024年までの推移を見ても、毎年「一番茶、二番茶、三番茶」の順に価格が高くなっています。
出典: 農林水産省「茶をめぐる情勢」(令和7年10月)「茶期毎の価格の推移(令和6年産の荒茶)」(資料: 全国茶生産団体連合会調べ)より作成 ※2025年以降は茶の市況が大きく動いているため、2024年産のデータで示しています。
味わいの違いはどこから来るのか
一番茶と二番茶の味わいの違いは、主に2つの成分のバランスで説明できます。
- テアニン: 旨味・甘味のもとになるアミノ酸の一種
- カテキン: 渋味のもとになる成分
テアニンは根で作られ、芽へと運ばれます。一方、芽が日光を浴びると、そのテアニンが、渋味のもとになるカテキンへと変化していきます。冬に蓄えた養分でゆっくり育ち、まだ日差しのやわらかい春に摘まれる一番茶は、テアニンが多く残ります。夏の強い日差しを浴びて育つ二番茶は、カテキンが多くなります。
「一番茶は甘く、二番茶は渋い」という違いは、茶樹が育つ季節の違いそのものです。反対に、摘む前の茶畑を覆って日光を遮ると、テアニンがカテキンへ変化するのを抑えられます。この方法で旨味を引き出したお茶が、玉露やかぶせ茶です。三重県で作られたあまもあも、出汁のような濃厚な旨味を持つかぶせ茶です。
茶畑で触れた、一番茶と二番茶

私が実際に産地を訪ねる中で、一番茶と二番茶の違いを強く感じたのは、その見た目よりも手触りでした。
一番茶の茶葉は、とてもやわらかく、しっとりとした感触です。
二番茶の茶葉は、夏の日差しをたっぷりと浴びて、青々と輝くような色をしています。葉も大きく、触ると少し硬い。同じ茶樹から摘んだ芽でも、手触りははっきりと違います。
実際に触れたときの硬さの違いが、そのまま淹れたときの味わいの違いになっている。茶畑に立つと、そのことがよく分かります。
一番茶・二番茶それぞれの淹れ方
一番茶は、少し低めの湯温でゆっくりと
一番茶の旨味と甘味を楽しむなら、少し低めの湯温で、ゆっくりと淹れるのがおすすめです。香りと渋味のバランスも楽しみたいときは、湯温を少し上げてみてください。
| 項目 | 甘味・旨味を引き出す | 香りと渋味のバランスを楽しむ |
|---|---|---|
| 茶葉の量 | 4〜5g | 4〜5g |
| お湯の量 | 150ml(一杯分) | 150ml(一杯分) |
| 湯温 | 60〜70℃ | 80℃ |
| 浸出時間 | 2分 | 1分40秒 |
※ 茶葉の個性によって適した淹れ方は変わります。たゆまの茶荘の茶葉は、商品ページに記載した淹れ方を目安にしてください。
二煎目は、湯温を少し上げて、浸出時間を短くします。一煎目とは違う、すっきりとした味わいが楽しめます。
二番茶は、水出しで渋味を抑えて
二番茶を家で淹れるなら、水出しがおすすめです。水出しでは、渋味のもとになるカテキンがほとんど溶け出さず、旨味・甘味のもとになるテアニンは水でもよく溶け出します。渋味や苦味を出さずに淹れることで、二番茶の雑味が抑えられ、すっきりとした味わいになります。
| 項目 | 水出し |
|---|---|
| 茶葉の量 | 16g |
| 水の量 | 1L |
| 水温 | 冷水 |
| 浸出時間 | 8時間(冷蔵庫で) |
ポットに茶葉と水を入れて、冷蔵庫でゆっくりと抽出します。時間がたったら茶葉を取り出すか、茶こしで注ぎ切ってください。
よくある質問
Q. 新茶と一番茶は同じですか?
新茶は、その年の一番茶のことです。一番茶の中でも、摘んでから日が浅い、出回り始めのお茶を特に「新茶」と呼びます。
Q. 「番茶」と「二番茶」は同じものですか?
違うものです。二番茶の「番」は、摘む順番を表しています。一方の「番茶」は、遅い時期に摘んだ大きな葉や茎などを使った、日常的に飲まれるお茶を指すことが多く、地域によって意味が異なります。
Q. 三番茶や秋冬番茶とは何ですか?
二番茶のあとに摘むのが三番茶(7月下旬〜8月ごろ)、秋に摘むのが秋冬番茶(9月下旬〜10月ごろ)です。どちらも、主にペットボトルのお茶などの原料に使われます。
Q. 二番茶はおいしくないのですか?
急須で淹れて味わいを楽しむなら、私たちは一番茶をおすすめしています。ただ、二番茶の渋味や力強い香りは、ペットボトルのお茶やほうじ茶の中でしっかりと生きています。家で二番茶を淹れるなら、渋味の出にくい水出しがおすすめです。
Q. パッケージを見て、一番茶か二番茶か分かりますか?
「一番茶」や「新茶」と書かれていれば、一番茶です。書かれていない場合は、販売しているお店に尋ねてみてください。たゆまの茶荘で販売している煎茶は、全て一番茶です。
一番茶の味わいを、じっくりと
一番茶の旨味と甘味は、産地や品種によっても表情が変わります。たゆまの茶荘では、全国の産地を訪ねて選んだ一番茶を中心に、煎茶をご用意しています。
気になった方は、まずは一杯分から試してみてください。どのお茶が合うか迷ったときは、藤井と話すから気軽にご相談ください。